生産現地へGo!

「鬼崎のり」と呼ばれる海苔を作っている、愛知県常滑市の鬼崎漁協へ行ってきました!

ここでは、漁師さんたちが海苔を養殖し、普段みなさんが食べているような「板のり」に加工していきますよ。今回は、海苔の養殖〜板のりになるまでのストーリーを見ていきます。

鬼崎漁協を訪問!四角い板のりができるまで

「海苔網(海苔を伸ばして育てるための網)」を海に張り込んで約1ヶ月が経ちました。

鬼崎のりでは、11月下旬ぐらいから摘採(収穫)が始まります。海苔の収穫ってちょうどさむーい時期(真冬の春先くらいまで)に行われるんですよね。

海水の温度が18℃ぐらいになると、「葉状体」っていって、次の世代に子孫を残すための準備を初めてしまうんです。だから、寒い真冬に漁師さんたちは海苔の収穫を行うんですね。

しかも、一番栄養満点で美味しいと言われているのは、海苔の光合成が始まる前..つまり「日の出前」という、本当に本当に一番寒いときなんです。よりによって、そんな寒い時期の早朝に採ることになってしまうなんて…と、こだわりんは思いました。

最盛期には、真夜中の2時3時から海苔を摘みにいきますよ。そして、一番早い人は朝の5時には加工場のタンクに海苔を入れるそうですよ。こだわりんは、いつも朝8時に起きるので考えらないな。。(^^:)

ビュービューと冷たい海風が吹くなか、日の出前の寒さのなかで収穫は行われるんですね。鬼崎では、下の写真の船(潜り船)を使って海苔の採摘が行われます。

海苔網の下を船がくぐっているんです。よーくみてください、船の上に網がかかっているのがわかりますか?

潜り船は、海苔網の下をくぐりながら、グオーんグオーんと回転歯で海苔を切っていきます。海苔は、だいたい20cmぐらい伸びた状態で摘み取られますよ。

板のりになっていると、海藻のイメージがなかなかわからないのですが、このように摘採されたのりを手に取ってみると、こんなに長いんですね♪

海藻

摘み取られた海苔は、港で水揚げされ、海苔の加工場へと運ばれて行きます。この時の「採ったぞー!」という、漁師の嬉しさはとても大きなものですね。


漁師さんが、積んだ海苔をトラックから卸している

摘みたての品質を保ったまま加工するために・・

約1ヶ月間、海で育てられた海苔が、加工場へと運ばれてきました。

海苔は生き物なので、いかに鮮度を落とさないように「板のり」まで加工できるかが大切なんです。

鬼崎漁協のお話を聞きながら見学
鬼崎漁協の方のお話を聞きながら見学

漁師さんが摘採した海苔は、早いものから順番に加工されていくのですが、加工されるのをジーッと待ってるうちに品質が悪くなってしまった..なんてことがあったら悲しいですよね。

なので、摘みとられた海苔は、「撹拌タンク」に入ることによって品質を保ちます。

と言っても、何か薬品が入っているわけではありません。タンクの水槽には、90%ぐらいにまで酸素濃度を高めたエアーを送っているのです。酸素をたっぷり送りながらぐるぐると海苔をかき混ぜることにより、品質を落とさないように工夫しています。


海苔を入れる前のタンク。小さな泡ブクブクが活性酸素

海苔を刻んで、四角い形をつくる。

いよいよ、海苔を刻んで四角い板のりにしていきますよ。

が、刻む前に大切なことがもう1つあります。それは、安全安心のために、海苔とともに海からあがってきたゴミをきちんと取り除くこと。

ゴミというのは、のり網とか、小エビとか、松の葉などですね。海苔を摘んでいるときに、網を破ってしまったり、雨などによって川からゴミが流れてきたりします。

確かに、海苔を食べた時に、松の葉とか食べられないものがついてたら…なんて考えたことなかった(逆に想像したら、ちょっとコワいと思ってしまう..)。しかし、当たり前に海苔だけを食べられるのは、きちんと加工する前にゴミを取り除いているからなんですね。

そして、海苔は細かく刻まれていきます。実は、ここの刻み方にもポイントが!!実は、「どの大きさに刻むか」を海苔の厚さなどによって変えているんです。

分厚い海苔や硬めのしっかりした海苔は、少し小さめに刻みます。だから、海苔を刻むための刃の種類も、刻む大きさによって色々変えているんですよ。

海苔を刻むための刃

そう言われてみれば、同じ袋の海苔を食べて、「ああ、今の海苔は、さっき食べた海苔よりも硬くて分厚いなあ」って違いを感じたことはないですよね(笑)

はじめは、大きめに刻み、そしてだんだんと細かく刻んでいきます。いきなり細かく刻むのではなく、なんども工程をへながら細かくなっていくのには少しびっくりしました。

細かく刻まれた海苔は、四角い形へと型どられていきますよ。刻んだ海苔を真水と合わせて抄き(すき)上げていきます。紙すきのイメージですね。

そういえば、海苔を触ってみると、オモテ面とウラ面の触感が違いますよね。オモテはツルツルしてるのに、裏はザラザラしていて細いデコボコの跡があります。

この海苔についたミシン目のような跡..。変なところに切り取り線があるなって思ってこともあったのですが、採取した海苔を抄いた(すいた)時に使われる「簀(す)」の跡なんですね。

まだ沢山水分を含んでいるので、2回にわたって、ぎゅーっと圧力をかけることで海苔の水気を飛ばしますよ。

下から光をあてて、ちゃんと均一な厚みの板のりになっているかをチェックしながら、

できあがった板のりは、縦にして立てかけて乾燥させます。

この写真では、わかりにくいのですが、ものすごい量の海苔が立て掛けてあるんです。この量には驚き!!

鬼崎漁協では、24時間稼働させると、建物1棟あたりで「18万枚」ほどの海苔ができるそうです。さらに、1棟だけでなく、組合が整備した海苔の共同加工場が9棟もあんです。

だから、たった一日でも、想像しきれないほど沢山の海苔がつくられているんですね。海苔が採れる時期がほんの4ヶ月と限られているからこそ、採れる時期には1年分を見込んで作っておく必要があるのですね。

しっかりと品質チェックされ、セリの市場へと出荷!

やっとのこと、四角い板のりが出来上がりました!

と思いきや…、セリに出荷する前に、厳密な品質チェックを受けるのです。

まずは、金属探知機。

え!?金属?って思うのですが、機械のサビなどが海苔に混じっていないかをきちんとチェックしているのです。

そして、その後、海苔の状態によって、分けていきます。
ほとんどが正規品の海苔なのですが、なかには規格外のものも…。

機械によって弾かれた訳あり海苔を、パートの女性たちが手で分けていくんです。


機械で弾かれた海苔を、パートの女性が取りに行く

①「小さな穴」の空いているもの(穴等級)
②端っこが少しか欠けているもの(ヤブレ等級)
③のりを抄(す)いたときに、「のり簀(す)」にとられて穴のあいたもの(別ヤブレ等級)

の3つに基本は分けていきますよ。

これらは、捨てられる訳ではなくて、刻み海苔などより細かいものにされたリ、加工用などとして少し安価に買われたりします。

食品のいろんな現場を見てきましたが、機械化が進んでいる工場の中にも、やっぱり人の手が必要なところってあるんだなって思いました。

品質チェックをクリアした海苔は、10枚X10セット=100枚を単位にして束ねられますよ!

裏を見てみると、きちんと生産者の名前ひとりひとりが記載されているんです。

だから、誰の海苔かがきちんとわかるようになっているんですよ。誰の海苔かわからなくなったりしないんですね。

農作物でいうと、JAの農産物は、農家の作物が混ざって出荷されるので、個々の農家の名前は書かれていないんです。漁協の海苔の仕組みは、JAなどの野菜とはちょっぴり仕組みが違いそうですね。

この後、出荷されて海苔の検査にかけられます!漁師さんや目利き者が、海苔の色やツヤなどからグレードをつけていきます。

え!?漁師さんが評価したら、自分のところだけいい評価しそうじゃん!って思ったんですが、そこはきちんと自分の海苔以外しか判断できないようになっているんですよ。

尾張まるはちの扱う鬼崎のり

さて、「漁師さんの海苔の養殖」から、「四角い板のりができるまで(海苔の収穫〜加工)」までを2回のシリーズに渡って見てきました。

今回、この鬼崎漁協にいくことができたのは、尾張まるはちの笹川さんが連れて行ってくれたからなんです。


(左)こだわりん と、(右)尾張まるはち笹川代表</small?

尾張まるはちの笹川さんは、もともと名古屋の中央卸市場で働いていたこともあるほどの目利きの達人。毎回、「良質な魚」を求めて生産元まで足を運んでいるんですよ。

今回の鬼崎のりも、尾張まるはちさんの現地視察に同行させていただきました。

尾張まるはちさんの「鬼崎のり(知多前のり)」は、特に色味が濃くてツヤのあるものを厳選して仕入れていますよ。ぜひ、商品をのぞいてみてくださいね(^^)

Amazon
ここ、鬼崎漁協で育った

知多前のり 全形(21x19cm)
10枚入り 950円

取材先情報
作り手さんの写真

株式会社 尾張まるはち
愛知県名古屋市昭和区
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ここ、鬼崎漁協で育った
知多前のり 全形(21x19cm)
10枚入り 950円