「自動車工場の倉庫」のなかで育つキクラゲちゃん。

自動車工場の倉庫の中にキクラゲがある…!って、あんまりおいしそうなイメージしないですよね(笑)ぶっちゃけ私はそうでした(笑)

なんですが…!なぜ、こんなに綺麗なの!?こんなに艶やかなの!?と、初めてみた時に、びっくりしたんですよね。

そして、なにか、とてつもないこだわりがあるんじゃないか…と、インタビューをさせて頂いたんです。かけた時間は3時間以上。

まずは、キクラゲちゃんの栽培を始める決断をした築山嗣仁さんへ。

そして、メインで栽培を行う奥さんへ。

いいものを作るためにすごく試行錯誤していたことや、1年目の苦労などはインタビューの中でわかったんですが、ぶっちゃけ、ここぞ!という、こだわりが見当たらない…。

菌床が国産だということはわかったんですが、それももちろん魅力的なんですが(ここも後で説明します)、しかし、それだけでは、なぜこんなにも品質がよいのか、、というところには、どうにもこうにも納得がいかず…。うーん、、。

というのも、武蔵きのこさんの築山さんは、そんなに多くを語らない、まさに農家さんあるあるの感じでして。

結構こだわりの作り手ってそういう感じの方も多いんですよね。「背中が語る」みたいな。

なので、こういう時ほど自分の取材力が試されるんですが…、ああ、自分の取材力もまだまだだなあ…と思いながら約2時間が経過。

「これは、もうだめかもしれない」と思った矢先、わかったんです。なんでそんなに魅力的なキクラゲが作れるのか。

それには、豊田の町工場で始めたからこその、ポイントがあったんです。

1つ目の注目は、2重構造。

インタビュー2時間少しが経った頃、

「キクラゲは本当に繊細でね。私たちのところは倉庫の中にあるから、少しは守られているんだけど、それでも繊細だから小まめに水やりの量を調整しているんだよ。」とのお話が。

「ん!?ちょっと待って。倉庫の中にあるから守られてる!?」
「…????」

そうなんです。ここに実は、のポイントがありました。

自動車工場の倉庫の中に建っている白いビニールハウス。見学した時は正直違和感だったのですが、それがまさかの「おいしさの決め手」に繋がっていた、ということなんです。


武蔵きのこさんの看板。そう、自動車工場はテクノムサシという名前でやっているんです


左側倉庫のなかにキクラゲちゃんがおります。


倉庫の中に入ると、白いビニールハウスが。

通常は、屋外にビニールハウスを建てて作るケースが多い一方、武蔵きのこさんでは、もともと倉庫だったところにビニールハウスを建ててキクラゲを栽培しており、それがキクラゲにとって最適な環境になっているんです。

キクラゲは、湿度や照度によって、本当に生育状況が変わってくる繊細な食べもの。バランスのいい湿度、かつ、光は禁物。真っ暗なほどいい。

そのため、湿度が高い時って窓を開けないといけないんですが、屋外で従来通り窓を開けると太陽の光が差し込んでしまって自動的に照度も変わってきてしまったりするんですよね。照度だけでなく、風や温度にも極めて敏感なんです。

武蔵きのこさんのビニールハウスは、倉庫内(屋内)にあるために、ビニールハウスの窓を開けても光が入りにくい。そして、風も入りにくい。キクラゲにとって一番大切な湿度の加減を小まめに調整しながらも、外的環境から身を守ることができたのです。

「ついつい気になっちゃって…」と、武蔵きのこの築山さんは、何度も何度もキクラゲの生育様子を見に行きます。

ハウス内には、スプリンクラーのようなものがあり、自動で水が出るようにはなっているそうなんですが、それでも「環境や湿度によって全く違うんだよ。」と、築山さん。

キクラゲの生育状態を、数人で回って見ながら、乾いていないかを確かめます。乾いている部分があれば、都度、手を使って水やりをしていきます。

実際に、栽培を始めた一年目は、水やりの量や頻度、湿度のバランスが悪くて、ブヨブヨのキクラゲになってしまい、売り物にならずに悔しい思いをしたこともあるそうです
倉庫内にあることによって、天候による外的影響から身を守り、かつ、丁寧で決めこまやかな世話によって、品質の良さを保つことができているんですね。

2つ目に、敷地内に湧き出ている「水」が違う!

キクラゲは、なんといっても、水分量が多い。

特に、生キクラゲは乾燥すると10分の1になるぐらいキクラゲは水を多く含む食べものなんです。なので、「いかにいい水を使うか」が味や食感に影響してくるんですよ。


※上記写真は、生キクラゲと乾燥キクラゲの大きさの比較をイメージするために、ほほえみごはん(ニチレイフーズのサイト)から画像の引用をしました

武蔵きのこさんでは、地下水をくみ上げることで、キクラゲに水を与えているのですが、そのお水がとっても綺麗なんです。

豊田ってついつい自動車のイメージが強くて、なかなか水が綺麗…というイメージが沸きにくかったんですが、確かに、あたりは結構田んぼなどが広がっていて、豊田も場所によってさまざまなんですよね。

実際に、水質検査もしていて、きちんと客観的にも水の綺麗さが証明されています。残念ながら、そのデータをなくしてしまったようなんですが..。


ハウスの上からスプリンクラーで水が出るという話をしている様子

武蔵きのこさんのことを知る他の農家さん方も「あそこは綺麗な水が湧き出るからね..」と話していました。

農業用水って、人間が飲める水とは違うものであることも多いのですが、武蔵きのこさんの栽培では、人間が飲めるぐらい綺麗な水を使ってキクラゲを栽培しているので、とても安心で品質もよくなるんですね。

3つ目に、「菌床から国産」であるということ。

ん!?菌床から国産!?どういうこと??と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?実は、私がそうでした。(笑)

菌床とは、この白い四角いもののこと。キノコの種菌を植え付けて、栽培するための培地のことをいいます。この白いブロックから、キクラゲちゃんの芽が生えてきます。

もともとキクラゲ自体、97%は輸入(主に中国産)で、日本で作られているものはわずか3〜4%ぐらいしかないのですが、この菌床から国産というのはもっと少ないです。

菌床からキクラゲの芽が生えているのを見つけた様子

つまり菌床とは、オガクズなどの木質基材に米糠などの栄養源を混ぜた人工の培地なんですが、
武蔵きのこさんでは、菌床から国産を追求し、顔の見える農家さんから菌床を取り寄せています。「オガクズから国産」というやつです。

豊田という土地にあったキクラゲ栽培を行うため、菌床を色々なところから仕入れて栽培をしてみた結果、現在は、愛知県大府市にある農家さんから菌床を仕入れています。

「最初は山口県までキクラゲ栽培の研修に行って、菌床もそこから仕入れていたんだけど、やっぱり山口と豊田では地域が離れているので気候が全然ちがってね。頑張って育てていたけれどキクラゲが元気に育たなかったから、似た気候で作られた菌床を取り寄せることにしたよ」と築山さんは話していました。

どうしても栽培方法とかに目が行ってしまうんですが、栽培する培地自体もとっても大切なんですよね〜。

穏やかで、決して多くは語らない築山さん。きめ細やかに育てているからできるキクラゲ

以前、他のパン工房で取材をしたときにも思ったんですが、やっぱり作る人の性格っていうのは、商品の質に表れるんじゃないかなあー…と感じています。

ふわっとした優しい感じのパン工房長のパンは、本当にぷっくらとふわふわなパンだった。

そして、今回は、穏やかで、決して多くは語らない築山さん。特に、栽培をメインでしている奥さんとお母さんは、小さなところも気がきくような繊細な気配りに長けていて..、それが、キクラゲの状態(些細な変化)を見逃さないきめ細やかな世話につながっている気がしました。

色艶が濃くて、表面が滑らか、そして肉厚なキクラゲをぜひ、食べてみてくださいね。

あまり調理したことない人も、3分で誰でも簡単にできる料理がありますよ。ぜひ、料理の方も気軽に試してみてください^^おいしいよ♪

作ったのは、キクラゲと銀杏のピリ辛醤油炒めです。
下の料理の画像を押すと、簡単キクラゲクッキングの記事に飛びますー!

取材先情報
作り手さんの写真

武蔵きのこ
https://musashi-kinoko.com/

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